こんにちは、写真家の古田亘です。

私のアート写真シリーズ「STORY SCAPE」の中から、今回は「ハザマ」というシリーズをご紹介します。

“ハザマ”とは、日本語で「物と物との間の狭くなったところ」という意味があります。

単なる境界線ではなく、両者が交じり合う曖昧な緩衝地帯——

私は、そうした場所こそが、人と人との間に「赦し」が生まれる、大切な空間ではないかと考えています。

このシリーズの出発点は、「イスラエルと日本には太古の昔に繋がりがあった」という一見突拍子もない伝説にインスパイアされたことでした。

地球の半分ほど離れた国同士が、どこかで繋がっていたかもしれない。

そんなロマンと違和感のあいだに惹かれ、作品を作り始めました。

撮影では、イスラエルと日本、双方に縁のある土地を訪ね、風景を重ねるために多重露光の技法を用いています。

たとえば、ソロモン王の秘宝が日本に隠されたという伝説なども、作品の背景にあります。

横長の画角は映画的な演出を意識していて、IMAXよりも広く、シネマスコープに近い比率を採用しています。

写真でありながら、物語を感じてもらえるように心がけています。

見えない境界にある美しさを、これからも探していきたいと思っています。

「STORYSCAPE(物語の風景)」と銘打ったシリーズ最初の作品群は、聖地エルサレムと日本との関係を探求するビジュアルアートである。
遠く離れた土地同士を多重露光によって混在させて、新たな風景写真を作り上げた。
その風景はどこにも存在しないが、物語の中に宿る郷愁の念を抱かせる。

The first body of work in the series titled STORYSCAPE explores the relationship between the sacred city of Jerusalem and Japan through visual art.

By layering distant lands together using multiple exposure, the images construct entirely new landscapes.

These landscapes do not exist anywhere in reality, yet they evoke a sense of nostalgia rooted in stories.

APA 日本写真家協会 アワード 写真部門 入選作品
“In this series, Furuta focuses on the relationship between our memory and vision. He uses visual effects to blend the holy places he has seen with other landscapes … attempting to evoke the images that people have had of those places.”